障がいのある子どもへの性暴力防止に関するアンケート

目的:知的障がいのある子どもをはじめとする障がいのある子どもたちへの性暴力の実態を明らかにするとともに、未然防止・発生防止・悪化防止・再発防止の実現のために必要なことは何かを検討し、その分析に基づき、今後3年間で性暴力防止の取り組みを行う
期間:2021年6月15日(火)~6月28日(月)
形式:Googeフォーム
回答数:72
  • 0.回答者の属性
    (1)お住まいの地域  16都府県1政令指定都市
  • 【考察】すでに当団体やCAPプログラム実践者とつながりのある方々にアンケートのご協力をお願いしたことから、数に偏りはあるものの、多くの地域で障がいのある子どもへの性暴力の支援を行った人が存在しており、特定の地域で起きていることではないことがわかります。アンケートにご協力いただいた方からは「振り返る機会になった」という感想をいただき、これまでの支援について振り返る機会も個人、あるいはチームとしてなかなか持てないままの方も少なからずおられるのではと推察しています。

    (2)障がいのある子どもへの性暴力(加害・被害のいずれも)に関わった際のあなたのお立場・職種を教えてください。(回答数83)【考察】障がいのある子どもへの性暴力に関わった時期から見ると、子どもの幼児期から思春期に至るまで広範囲に亘っています。障がいのある子どもへの性暴力の予防の取組みは、思春期に入ってからではなく、早い段階から行うことの必要性が浮かび上がっています。また、立場もさまざまで予防的観点を持つことは、障がいのある子どもに関わるすべての機関・団体に必須と改めて感じます。

 

  • 1.あなたが障がいのある子どもへの性暴力防止のために必要な知識やスキルを学んだのはいつごろですか?(回答数71件)【考察】「④学んだ経験がない」が15.5%、「⑤学んだかどうかわからない」が2.8%で、“もしもに備える”、“チームとして機能する”体制の整備には時間がかかると思われます。
    また、職場か自主的な研修かはわかりませんが、支援者になって「障がいのある子どもへの性暴力が起きるかもしれない」と意識化されている状態で、個々人の「性」や「暴力」に関する認識によっては学んだことが日常的に予防的観点を持つことにつながっているかには疑問を持たざるを得ない状況と考えられます。

 

  • 2.上記「1」で、①~③とお答えになった方にお聞きします。それは、どのような教育や取り組みでしたか?(複数回答可)(回答数55件)
    ※「①学生時代に授業で学んだ」、「②支援する立場になって研修で学んだ」、「③実際に性暴力のケースに出会ったことをきっかけに」【考察】直接支援の研修ではありませんが、幅広い研修で障がいのある子どもの性暴力防止に触れていることがわかります。
    ただし、性暴力は「性」の問題ではなく、「暴力」の問題であるにも関わらず、そのことを明確に意識し、予防するための研修・取組みが少ないことが気になります。
    また、「被害者支援17」「性暴力被害者支援1」、「加害者支援2」と直接支援に関するものが被害・加害共に少ないことは、日常で子どもをケア・サポートする際に、支援者が困り感や戸惑い、さらには無力感を抱く大きな要因ではないかと考えられます。

 

  • 3.性暴力被害・性暴力加害を防ぐことは、(1)「あなたにとって」、(2)「あなたが所属する(関わる)団体や機関にとって」、(3)「社会にとって」どれくらい重要な課題でしょうか。それぞれお答えください。「全く関心がない」を0として、「最重要課題である」を10とし、該当する数字をチェックしてください。
    理由:①~⑧の選択肢
    ①性被害は、その後の人生に大きな負の影響を及ぼすことを知っているから
    ②性加害の背景には性被害がある可能性があり、再発防止にむけた取り組みが必要だから
    ③性加害は、教育による予防や治療による更生が可能であると考えているから
    ④安心・安全な社会を実現するために必要な取り組みだと感じるから
    ⑤障がいや生活困難などが複合して起きており、無力感を感じるから
    ⑥めったに起こらないから
    ⑦関係ない遠い世界の出来事だから
    ⑧その他

    (1)性暴力被害・性暴力加害を防ぐことは、あなたにとってどれくらい重要な課題でしょうか。(回答数71)

    *上記のように考える理由

    ①性被害は、その後の人生に大きな負の影響を及ぼすことを知っているから66
    ②性加害の背景には性被害がある可能性があり、再発防止にむけた取り組みが必要だから50
    ③性加害は、教育による予防や治療による更生が可能であると考えているから 42
    ④安心・安全な社会を実現するために必要な取り組みだと感じるから47
    ⑤障がいや生活困難などが複合して起きており、無力感を感じるから18
    ⑥めったに起こらないから0
    ⑦関係ない遠い世界の出来事だから0
    ⑧その他1

    (2)性暴力被害・性暴力加害を防ぐことは、あなたが所属する(関わる)団体や機関にとってどれくらい重要な課題でしょうか。(回答数69)

    *上記のように考える理由

    ①性被害は、その後の人生に大きな負の影響を及ぼすことを知っているから58
    ②性加害の背景には性被害がある可能性があり、再発防止にむけた取り組みが必要だから43
    ③性加害は、教育による予防や治療による更生が可能であると考えているから44
    ④安心・安全な社会を実現するために必要な取り組みだと感じるから47
    ⑤障がいや生活困難などが複合して起きており、無力感を感じるから20
    ⑥めったに起こらないから1
    ⑦関係ない遠い世界の出来事だから1
    ⑧その他1

    (3)性暴力被害・性暴力加害を防ぐことは、社会にとってどれくらい重要な課題でしょうか。(回答数71)

    *上記のように考える理由

    ①性被害は、その後の人生に大きな負の影響を及ぼすことを知っているから60
    ②性加害の背景には性被害がある可能性があり、再発防止にむけた取り組みが必要だから47
    ③性加害は、教育による予防や治療による更生が可能であると考えているから48
    ④安心・安全な社会を実現するために必要な取り組みだと感じるから55
    ⑤障がいや生活困難などが複合して起きており、無力感を感じるから21
    ⑥めったに起こらないから0
    ⑦関係ない遠い世界の出来事だから1
    ⑧その他1

    【考察】個人としては圧倒的に重要な課題として捉えていても、所属する機関・団体、あるいは社会にとってという観点で見ると、「⑥めったに起こらないから」、「⑦関係ない遠い世界の出来事だから」が少ない数ではあるが出現しており、支援者が孤立しているのではと危惧されます。
    また、「⑤障がいや生活困難などが複合して起きており、無力感を感じるから」については、いずれも10%弱となっており、一つの機関・団体だけではなく、多機関連携による支援の必要性がうかがえます。

 

  • 4.あなたが障がいのある子どもへの性暴力を防止するための教育や取り組みを実施するのに、難しいと感じていることは何ですか?下記から選んでください。(複数回答可)(回答数69)
    • ①日常的かつ長期に身体接触のある介助を受けているので、自分のからだは自分のものという意識が育ちにくい
    • ②人との適切な距離の取り方などを教えるのが難しい
    • ③被害を受けたとき、発信する方法を教えることが難しい
    • ④子ども自身があきらめている
    • ⑤学んだことを理解して実行することが難しいと周囲のおとなが思っている
    • ⑥周囲のおとなが積極的に学ぶ機会を設けようとしていない
    • ⑦知らない人と関わる機会も少なく、性暴力にあうことがないと思っている人が多い
    • ⑧家族の理解が得られず、連携して取り組むことが困難である
    • ⑨地域と連携して取り組むことが困難である
  • (その他)学校教育の中で、性を人権として捉える理解と実践ができていない。
  • (その他)指導者側の知識や意欲の問題
  • (その他)障がいがみんな違うから取り組みにくい。多忙で後回しになる。
  • (その他)障がいのある子どもの性暴力に関する実態が地域に共有されていない。身近な場所で障がいのある子どもの性暴力に関しておとなが学べる機会がない
  • (その他)「そのようなことは身の回りに起きていない。」又は「起きてほしくない。」という正常性バイヤスが働いている人が多い。
  • (その他)学校教育の中で、過去の経過より、タブー視されている
  •  
    【考察】「④子ども自身があきらめている」が少ないことは、支援者が障がいのある子どもがおかれている状況を理解し、子どもの力を信じる基盤を持っていること示していると捉えることができ、状況を変化させるために希望が持てると感じます。
    その他としてあがっている「指導者側の知識や意欲の問題」「障がいがみんな違うから取り組みにくい。多忙で後回しになる」「障がいのある子どもの性暴力に関する実態が地域に共有されていない。身近な場所で障がいのある子どもの性暴力に関しておとなが学べる機会がない」「そのようなことは身の回りに起きていない」または、「起きてほしくない」という正常性バイヤスが働いている人が多い」「学校教育の中で、過去の経過より、タブー視されている」は少数意見であるが、大きい問題と考えます。

 

  • 5.現在、あなたが障がいのある子どもへの性暴力に出会ったとき、相談できる『社会資源(人・団体・機関)』や支援をしてくれる『社会資源』にアクセスできますか?(回答数71

    【考察】その資源が効果的な支援につながるかは別にして、抱え込まずにつながることが大切と意識化できている人が多いことは重要なことだと思われます。一方で、つながる資源が見つからなかったり、効果的な支援への話し合いができなったりすると、孤立に向かう可能性も大きいと考えられます。
    *「はい」とお答えになった方にお聞きします。(1)『社会資源』をどのようにして知りましたか?(回答数60)

    【相談について】(回答数:60件)
    1. 研修会・支援者講座(公的/職場、校内研修・民間/自主参加・在籍している団体の研修を含む)・障がい児保護者向けの保護者による自主研修会。民間の女性向け研修会・講師からの案内・講演会で被害者支援センターの話を聞いた・性教育講座を受けて・性のことをしっかりと学べる、信頼できる団体がある
      (18)
    2. 通知文(教育委員会など)・県教委、公的機関からの資料提供・市町村の広報・職場回覧 (10)
    3. 業務(福祉職・心理師)の中で社会資源を知っている・所属している団体からの情報 (8)
    4. 学校現場で他の施設との連携・これまでの活動で協働した・今までの経験から・被害を受けた子ども・親への取組の中で (6)
    5. 知り合いから・自分が学ぶ過程で築いてきた人脈・取り組み団体に所属している人を数人知っている・知人のソーシャルワーカー (5)
    6. 各児童相談所等(警察、児童相談所、障碍者支援センター、保健師、教育委員会) (5)
    7. インターネットで調べて・ホームページ (3)
    8. CAPの研修・CAPの活動から (3)
    9. 実際に相談を受けたことから知った・所属する施設で相談 (3)
    10. 性暴力に関しての相談に、障がいの有無は関係ないと思っているので報道やパンフレット・ (2)
    11. 実際に被害の立場で利用をしたから (1)
    12. 書籍を通じて (1)
    13. 相談支援事業所の担当者が女性であること (1)
    14. 口コミで知った (1)
    15. 性暴力防止や障がいのある子どもを支援するネットワークからの紹介 (1)
    16. 自分で立ち上げ運営しているから (1)
    17. 性暴力に限らず、障がいのある子どもの支援や相談については、市町の子育て応援室や相談支援事業所と連携できる関係がある (1)
    18. 性的暴力の相談窓口・ (1)
    19. 研究者 (1)
    20. 弁護士 (1)
    21. かかりつけ小児科医 (1)
    22. 保健室の先生 (1)
    23. 性加害者の治療に取り組む団体 (1)
    【支援について】(回答数:58件)
    1. 性教育講座を受けて・支援者講座・講演会で被害者支援センターの話を聞き、セミナーに参加した・講師からの案内・支援のための学び・公的あるいは私的な研修会や講習会・セミナーで支援者向けの研修で主催者や参加者からの情報・在籍するボランティア団体で学んだ・性のことをしっかり学べる団体
      (15)
    2. 児童相談センター、市の相談員など・警察,児童相談所,障碍者支援センター,保健師・市役所の公的機関等・相談支援センター (12)
    3. 業務の中で知っている・職場での関りから・福祉職なので関係機関は理解している・支援しているから・心理士としての仕事を通して知ったのが初め・業務上のつながりからその中での機能の一つとして確立されているから (9)
    4. 詳しい人を知っている・知り合いが専門家・自分が学ぶ過程で築いてきた人脈・上記研修会の講師などに連絡をとることができる/知人のソーシャルワーカーを通じて (7)
    5. 広報 職場回覧・行政のパンフレット・市町の広報誌 (4)
    6. 支援団体と連携する・児童相談所がつながっているから・これまでの活動で協働することがあった・すでに今までの経験より (4)
    7. 書物から (3)
    8. 県教委等からの資料提供 (3)
    9. インターネットで調べて・支援機関について調べた (3)
    10. 通知文等 (3)
    11. CAPの研修・CAPの活動から (2)
    12. 実際に相談を受けたことから知った (2)
    13. 理解ある学校の先生 (1)
    14. 性暴力防止や障がいのある子どもを支援するネットワークからの紹介 (1)
    15. 性暴力に限らず,障害のある子供の支援や相談については,市町の子育て応援室や相談支援事業所と連携できる関係がある。 (1)
    16. 自分で立ち上げ運営しているから (1)
    17. 実際に被害の立場で利用したから (1)
    18. 性暴力被害者支援センターへつなぐ (1)
    19. 加害者の捜索 (1)
    20. (具体的支援の内容)アドバイス (1)
    21. (具体的支援の内容)現状の確認や面接、関係者への聞き取り等 (1)
    22. 性加害者の治療に取り組む団体 (1)
    23. 特別支援学校の先生につなげることくらいしか思いつかない (1)
    24. 具体的に適切な支援をしてくれるところは知らない (1)

    【考察】情報提供をする側としては、資料としてご紹介する機関・団体については十分に確認してお伝えする責任を改めて感じました。
    また、研修内容に左右される部分はあるものの、研修時に情報を持つことで実際の支援をイメージすることができ、“もしものとき”に社会資源を思い浮かべ、早い段階でつながる可能性を高めるのではと考えられます。

    *「いいえ」とお答えになった方にお聞きします。・『社会資源』にアクセスしなかった または できなかった理由を教えてください。(回答数:8件)

    1. なかなか言い出せない (1)
    2. 具体的に、適した相談機関を知らなかった (1)
    3. 社会資源を知らない (1)
    4. どこに相談するのかが分からない。 (1)
    5. 知る機会がなかった。支援センターがまだなかった。 (1)
    6. もしもという想定でそう答えました。適切な対応をしてもらえる機関が思いつかないから。 (1)
    7. 私生活で出会ったことがないのと、仕事で性暴力と出会ってもデリケートな問題かつ家庭等が関わってくるため外部へのアクセス等は難しいので (1)
    8. 勉強不足 (1)

    【考察】障がいのある子どもへの性暴力が起きた時期によっては、まだ性暴力救援センターなどの社会資源ができていなかったことも考えられますが、関心の高い人でも情報を持っていなかったり、持っていても言い出せなかったりして孤立しがちな状況がうかがえます。子どもたちを一人で頑張らせないためにも、支援者が孤立しないですむ環境作りの必要性を改めて感じています。

    (2)『社会資源』に望むことはなんですか?

    *相談に望むこと(回答数:53件)
    1. 相談機関の周知・宣伝活動・啓発、幅広い周知・世間一般に周知されること・相談業務や支援等についての情報発信・日常的に相談窓口や連絡先を知るような機会が必要・被害者が安心して相談できる場所だと認識できる広報・もっと広く広報を・相談できるところがあるとアピールする。学校関係、警察、自治体などへの働きかけ。SNSなども使って一般の方が眼に見えるようにする。自殺防止の取り組みのように・誰でも気軽に相談できる宣伝活動資源が必要・情報提供の仕方、相談事業の広い周知・多方面にアピールする
       (10)
    2. 相談員の数・質の向上や資源の活用方法等の情報を広く伝えることが必要・担当する職員の資質向上・安心して相談できるカウンセリングマインド・行政は管轄地域が限定されていたり、担当職員の異動があったりするので、継続的な利用が難しいことがある。NPOのように、職員が変わらないことや変わったとしてもクオリティが変わらないことを望みます・障がいのある子ども支援をする地域の機関で障がいのある子どもへの性暴力について専門的に相談にのれる人を置いて、身近な場所で相談できるようにしてほしい・相談者のニーズに答えるスキルとシステム
       (6)
    3. 相談しやすい環境の整備・誰もが相談できる環境の情報提供・電話をかけやすい環境を作って欲しい・相談しやすい体制・アクセスしやすい相談の場
       (5)
    4. 縦割りを乗り越えてほしい・相談機関がある程度協力し合える関係にあること・相談が必要なときに連携をしていただきたい・連携強化・日頃からFace toFaceで連携しあい,関係を作っておき,気になることがあったらすぐに相談できる体制を作っておく
       (5)
    5. アクセスできる窓口を明確に示してほしい・公的児童福祉関係機関等・最初に相談した加害者も所属する団体の相談窓口は、保身の対応で私が責められ余計に傷ついたので、専門家が対応する窓口を明確にして欲しい・相談できる場所だという発信力
       (4)
    6. 障害児について既成の支援機関が知らないこと。うまく、被害を聞き出せない・障害への理解・障害のある人が利用しやすいものであってほしい (3)
    7. 先入観なしに子どもの話を信じて欲しい・本当に生徒の立場になって相談してほしい・本人に寄り添って話を聞いてくださること (3)
    8. 窓口を一本化して,被害にあった子供が何度も同じことを聴取されなくてもよいようにすることを徹底する・ワンストップで相談ができること・たらい回しになったので、ワンストップで必要な支援へ繋いでもらえる仕組みを望む (3)
    9. 24時間対応・相談できる時間帯に幅があること (2)
    10. 受け入れた上で,組織的な対応をすること。 (1)
    11. 離島にも相談の窓口を増やしてほしい (1)
    12. 無償化が必要 (1)
    13. 開かれた窓口であること (1)
    14. まずは、聞いてもらいたい。被害者や加害者がこどもの場合、親も苦しい。(家族支援) (1)
    15. カードなどを使って、事実を伝えやすくしてほしい (1)
    16. 性暴力についての知識や対応ができる人材の育成 (1)
    17. 利用者が選べるような複数の相談資源 (1)
    18. 家庭内で起きたとき、介入できる相談窓口がほしい (1)
    19. とにかく、今を安心にすることのできるところまで支援機関とつないでくれる相談体制 (1)
    20. 司法面接の知識を持っていてほしい (1)
    21. 個人情報の厳守と、当事者支援の立場に立てること。 (1)
    22. 再発防止チップまたはGPS (1)
    23. 相談場所、人を増やす。ボランティアではなく仕事としてのスタンスを確立する。 (1)
    24. 何でも相談して、と言ってもらえること。面談して方法を考えてもらうこと。友人。 (1)
    25. 障害があっても特別視しないで、ほかの子と同じように教えること (1)
    *支援に望むこと(回答数:54件)
    1. 人材育成・支援者の研修・関係機関の意識向上や勉強会の実施・資質の向上、支援職種の連携の強化資質の向上、支援職種の連携の強化・行政は管轄地域が限定されていたり、担当職員の異動があったりするので、継続的な利用が難しいことがある。NPOのように、職員が変わらないことや変わったとしてもクオリティが変わらないことを望みます・職員の質の向上と支援スキル・臨機応変に一緒に対処を考えてくれること。問題を整理してくれること。いろんな制度やサービス、法律などをちゃんと知っていること・担当する職員の資質向上・相談員のスキルアップ・障がいの特性を理解した支援者が増えてほしい・支援方法等の内容の向上とそのための研修等の機会を現場の支援員に設ける事
       (9)
    2. 加害者への指導及び障害のある子どもへの被害にあわないための指導について一緒に考えていきたい・加害者へ明確な犯罪の認識を持たせ、必要な社会適応プログラムの実施。被害者への長期的なサポート。肉体的、精神的なダメージによる社会生活の困難を予測し、サポートチームを組む。自己肯定感を高める。特性に合った被害防止プログラム(想定される場面での対応練習など)・被害者支援の立場にいますが、加害者の支援ができる支援があまりないことに、不安を感じています・被害者だけでなく加害者、加害者家族への支援や教育プログラムをしてほしい(長期的・継続的支援)(加害者支援)(加害者・被害者にならないための予防教育プログラム)(家族支援)
       (6)
    3. 連携強化・方針の一致・関係機関でしっかりと連携し,被害の根絶をする支援の共有をすること・縦割りを乗り越えてほしい・利用者が選べるよう複数の支援資源があり、支援機関がある程度、利用者の利益のために、協力し合える状態を持っていること ネットワークづくり・教職員との連携
       (6)
    4. 被害にあった子供自身に非は無いことを知らせ,エンパワメントし,再発防止のためのスキルを身に付けることができるようにする。(被害者支援・回復と再発防止)・あくまでも、当事者を信頼し、支える意識・100%被害者の立場にたって取り組むこと・とにかく今を安心にしてくれる支援。見通しを示唆してくれる支援・子どもにとって一番いい方法を考えて欲しい
       (5)
    5. 行政とのつながり、行政への指導・意見 
    6. 被害的の安全安心を迅速に確保するためのシステムの構築・あまりに少ない。地域ごとの差異が大きい・自分の住む身近な地域で支援があると良い (3)
    7. 障害への理解・障がいのある子どもが置かれている状況や、特性を理解した上での支援が必要ですね・障がいの特性を理解した支援者が増えてほしい (3)
    8. もっと広く広報を・宣伝活動・より多くの方へ知識を広げる活動や取り組みをしていきたい・世間一般に周知されること (3)
    9. 包括的な支援・実のあるネットワークがほしい(医療、生活、学業・仕事、地域つながり) (2)
    10. 個々の実態を的確に把握し,個に応じた支援をしてもらいたい・本人の意向を多面的に支援してほしい (2)
    11. 障害のある人が利用しやすいものであってほしい・誰にでも手が届く支援が必要 (2)
    12. 性教育をもっとするべき・定期的に性の健康教育を行うことが抑止力になるのではないかと。 (2)
    13. 被害者のアクセスできる様々な方法を知らせる・支援が必要なときに支援していただいたり,相談機関を教えていただきたい。 (2)
    14. ほかの子より回数は必要かもしれないけれど、わかりやすく丁寧に教え続けること。 (1)
    15. 行政ならではの制度につなぐことを積極的にしてほしいと思う。 (1)
    16. 障がいのある子ども支援をする地域の機関で、性暴力の相談、さらに回復支援まで一貫して専門的に支援できるようにして、相談・支援・啓発や人材養成までを行うセンター的機能を担えるようにしてほしい (1)
    17. キーパーソンとなる方がいて保護・サポートできること (1)
    18. 法整備をしっかりして、きちんと有罪にしてほしい。 (1)
    19. 無償 (1)
    20. シェルター的な心身ともに回復できる場所の設置 (1)
    21. 本人へのケアや具体的な対応についてのコーディネート (1)
    22. 施設職員と協力して積極的に性問題に関わってほしい (1)
    23. 支援を受けるためのハードルを下げること・虐待相談ダイヤル等 (1)
    24. 子どもの権利条約  (1)

    【考察】過去に相談した時は社会基盤が整っていないことや社会が知識を得ていなかったことが伺え、相談支援整備やそこに携わる人との顔が見える関係を望んでいる現場が多いことがわかります。また、資質を高めるために個人が知識を得る場、研修の機会、共通認識を持つために現場同士が学び合う場が必要だと考えられます。
    また、多岐にわたる要望が出ており、資源にアクセスできるが、連携が十分でなかった経験をしている現状がうかがえます。また、過去の相談・支援が子どもの最善の利益につながったかどうかを振り返る機会が持てているだろうかと気になりました。知見が積み上がっていないのではと思われます。

 

  • 6.あなたは障がいのある子どもへの性暴力防止には何が必要だと思いますか?(複数回答可)
    (1)子ども自身が学ぶ機会(予防教育/未然防止・発生防止・悪化防止・再発防止を目的とする教育)(回答数:71件)

    • ①人との関係性における距離の取り方
    • ④性暴力から自分を守るためのスキル(NO・GO・TELL)
    • ⑤人権教育
    • ⑥性教育
    • ⑦体を使って自分をバランスよく保つ方法
    • ⑧自己肯定感を育む信頼と思いやりの教育
    • ⑨メディアリテラリー
    • ⑩知的障害や言語障害のある人が、性暴力の事実をカードなどで伝える練習
    • ⑪弁護士などアクセスできるところへ実際に行く練習。
    • ⑫親への予防教育・心理教育

     

    (2)学ぶためのツール
    (3)日常生活で繰り返し復習するためのツール
    (4)日常生活で繰り返し復習することをエンパワーする人((2)~(4)回答数:64件)

     
    (5)子どもの身近なおとな・支援者が学ぶ機会(回答数:71件)

    • ①性教育
    • ②社会構造のなかでの障がい理解・障がい受容
    • ③人との関係性における距離の取り方・姿勢・声かけ
    • ④人権教育(子どもが自分を守るためのスキル(NO・GO・TELL)を含む)
    • ⑤日常生活でエンパワーできるスキル
    • ⑥身近な大人との信頼関係
    • ⑦子どもの声を聴くアドボカシー
    • ⑧自分自身の健康を考える機会
    • ⑨このごろは大人が自分に自信がなく価値を見いだせないことがあると思うので、それへの対処をすることが同時に必要。
    • ⑩自分ではない他者への想像力とデリカシー。自己覚知

     
    (6)家族支援(回答数:68件)

    • ①共通認識を持ったネットワークが有機的に機能するようにしていく
    • ②家族内対話を進める方法
    • ③一見何でもないことでも普段から話せる関係があること
    • ④家族が孤立しないな親支援
    • ⑤相談支援先を伝えること

     
    (7)相談窓口や支援機関などの社会資源(回答数:68件)

    • ①障がいのある子どもの性被害・性加害の相談窓口の明確化
    • ②相談・支援体制の強化
    • ③周知・情報発信
    • ④法律の整備

     
    【考察】・具体策としてのツールを望む回答が多かったことは、子どもが学ぶ機会の必要性が認識されているからこそと考えられます。しかし、そのツールと出会えていない状況、さらにそのツールとして距離の取り方を見える化したり、個々の障がいの特性に合ったツールが有効に機能するためには活用する人の人権意識が必須だと改めて感じます。
    ・一貫性と継続性を持った取組みには、共通言語で家族と支援者が繋がり合うことも支援強化になると現場でも感じていることが伺われます。
    ・未然防止・発生防止への意識を高めることや取組みの強化にむけたツールのと出会う機会を設けることが重要だということが示されているものと考えます。

 

  • 7―1.あなたの知っている障がいのある子どもが性暴力の被害にあっているとしたら、その子どもはすぐに気づいて話してくれる(表現してくれる)と思いますか?(回答数:68件)

    *その理由を教えてください。(回答数:66件)
    1. 被害にあっていると気づかない・一概には言えないが、性暴力とわかる力の不足・自分にされていることが「暴力」だと気づきにくいから・出来事への理解が低い・現状の把握が難しい・それが不当な行為であるということに気付かないかもしれないため・被害者意識を感じにくい・性暴力と気づかない可能性があるから・性暴力と感じられていないことが予想される・性暴力被害にあっているという自覚を持てるかどうか不明だから・性暴力についての知識がないことから、認識できない・本人が気づいたら話してくれるよう日々の支援から心がけているが、本人が被害にあっていると認識できるか(気づけるか)不安がある・そのこと自体が,どういうことなのか判断が難しいのではないかと思う・被害を受けていることを認識できない子供もいる・知的に重度のケースでは理解が難しい場合が多いと思われる・自分がされても気づかない、判断できない・被害ということに気づくのに時間を要すると思われる・それが被害だと気付いていないことも多い・知的な障がいから事実を客観的に自分のことをとらえることが難しいため・受けた暴力が性被害であると認識する教育を受けていないので自覚できないでいることが多い・それが性暴力だとわからないと思うから・性暴力であると認識できていない可能性が高い・自分のされたことが何かがよくわかっていないから。されたことについて他の人にうまく説明できないから・日頃から周囲や本人が性暴力について学んでいる機会が少ないので、自分が何をされているのか理解が難しいから。日頃から周囲や本人が性暴力について学んでいる機会が少ないので、自分が何をされているのか理解が難しいから・おかれている状況を理解できない・被害に気付かないから。(知識の不足・欠如)
       (23)
    2. 障がいがあるなしに関わらず、話せない子がほとんどだから・言語障害がある・日常的に接している児童が発語がなかったり,発語があっても被害の状況を伝えることが難しいから・発語がない,あっても言葉の意味を理解することが難しい・ったり、どの様に話したらよいのかわからなかったりするのではないか・表現の難しさによる、周囲の支援者の気づきにくさ・言葉にする難しさ
       (10)
    3. 表現の仕方がわからない・表現の仕方がわからない等・いや・だめといえない・、言葉にして表現することが、難しい・表現する力が十分でないケースもあるので・表現する仕方がわからないかもしれないから・表現できる語彙がない・言葉に出して表現することが難しいため・表現してくれることを望むが、実際、難しい時があると思う・個人の能力
       (9)
    4. 何でも話してくれる・日常的なコミュニケーションが取れているから・関係ができているから・相談しやすい環境づくりができているため・困ったときには話をしてくれる関係があるから・日常的なかかわりの中で関係を築けていると感じているから・普段から連絡をとりあい、話せる環境づくりをしている。、ただ、それでも、出ないことがあるのが性被害。
       (5)
    5. 一人一人ちがうから、一概に言えない・答えてくれたこともありますし,答えられなかったこともあります。はい・いいえでは答えられません・日常的にいつも一緒にいるわけでないから (4)
    6. 周りの人に言えない・子どもが安心できる人がいるのか・身近な人が加害者の場合が多い。 (3)
    7. 恐怖心が大きいと思います。他にも羞恥心、罪悪感、口止めされたり脅されたりなど、自分が悪い事をしている様な気持ちにもなり誰かに話してはいけないことのように思う・人に被害を伝えることは、まだまだハードルがあると思います・言うていいのか判断がむずかしいかもしれないから人に被害を伝えることは、まだまだハードルがあると思います・言うていいのか判断がむずかしいかもしれないから・
       (3)
    8. 嫌だと感じた不快感を声や態度に現れると思うから・気付くケースもあると思う (3)
    9. 日頃、性について話していない。話す機会がない。 (2)
    10. 周囲に聴いてくれる人がいない (2)
    11. 週に1時間程度のかかわりなので、なかなか話してはくれないと思う・また、わたしがそれほど信頼を得ているとは思えない。 (2)
    12. きょうだいがいるから (2)
    13. 話をすることが(相手を)困らせてしまうと感じてしまうかもしれない (1)
    14. 自分から話すことに勇気が必要で,なかなか話すきっかけがつかめないという心配がある (1)
    15. 子どもが起きたことの重大性に気づくことに時間がかかると思う。 (1)
    16. 話したら怒られるかもしれないという気持ちが強いと感じるから (1)
    17. 叱られるので知られたくないという気持ちが出てくるなど。あるいは心配を掛けたくないと思うこともあるから。 (1)
    18. 気付いたとしても、話せない理由が色々あるから・周りに話しづらい内容 (1)
    19. 仕方ないと思ってしまう (1)
    20. 遊んでいる、楽しい時間、言われたことや約束をまじめに守ろうとするため、口止めされるとなかなか自分からは話さない (1)
    21. 発達年齢が未熟な場合は難しい (1)
    22. おとなに話せるスキルがない。 (1)
    23. 大人に対しての不信感が生まれているから (1)
    24. 身近な人が加害者の場合が多い。 (1)
    25. 人権教育がなされていない (1)
    26. CAPワークショップの後でなら、話してくれそう (1)
    27. 障がいの重度にもよりますが、すぐに気づいて話してくれるとは思わない・すぐには難しいと思われます (1)
    28. 解りません (1)

    【考察】表現することが難しいとか難しいから周りのおとなは気付きにくいという回答が全般的に多いことから、“障がいがあることが被害を見えなくさせている”という理解に繋がっているようです。「障がいがあるから」ということが理由になってしまうと、この状況を放置することにつながりかねません。しかし、それは加害者にとって好都合な現実になっていること、できることがあることを発見していく機会が必要だと感じています。
    また、日頃から性についてタブー視せず、話す関わり・環境を作ること、具体的に日常でどのような選択肢があるのかを考える機会を持つことが支援者をエンパワーするのではと考えられます。

 

  • 7-2.あなたはその被害にすぐに気づけると思いますか。(回答数:70件)

    *その理由を教えてください。(回答数:65件)
    1. なんとなく様子がいつもと違う感じがすると思うから・様子、行動の観察・子どもの日々の情報(いつもと違うことや周りからの話)を受ける立場にいる・日々,生徒の観察をしているから・子どもの様子の変化を見極め、話を聴く中で「嫌な触られ方」などが発覚したケースがあった為・小さな変化などにも気付けるような自分でありたいと常々思っている・よく観察してれば分かる・コミュニケーションが難しくないケースでは、日常的な関わりの中からの変化等で気付くことも可能と思われる・日常的に見守っているから・ほぼ毎日同じ子どもと関わり保護者様とも顔を合わせているから・発語等がなくても,児童の様子がいつもと違ったり,何かを嫌がったりしたら気づくことができるかもしれない・状況を理解できているから
       (12)
    2. 日頃から,話ができていない。そのようなことが起こったときの対処方法について伝えきれていない・知りたいとは思っているけど、これまでの大人との信頼関係が築けているか、私と信頼関係が築けているか、わからないから・支援者として遠い存在である・日常生活のなかで接する機会が少ないため・非常勤なので事情がなかなかつかめない・日常的に接触していない・子どもとの関係性によると感じる・子どもが話したいと思える信頼関係が築けていないから・ある程度の関係性がないと、突っ込んだ話はできないと思うから・会う機会が少ない
       (12)
    3. 外から見ただけでは、わかりにくい・子どもの表現を読み解くことは、難しいことだと思う・疑念はあったとしても、デリケートな問題なので、本人から聞けない場合(発達年齢が低い場合)、それを明らかにしにくい・本人が訴えることができなければ,他の大人が現認できるとは限らないから・難しい。まさにその時、でないと見た目に分からないし本人もいつどこでだと正確に言えないことが多い。身体の傷や様子など可能な範囲でよく観察するしかない・性教育や人権教育を提供することで被害に気付き話してくれるチャンスは増えると思うが、外傷などの分かりやすい兆候がほとんどない暴力だから・とても難しい。シグナルは皆違うため・当事者からの発信がないとわからないため・本人から聞けないことがあるから・被害にあった児童の特性にもよる(行動化しやすい等)・言葉で表現することが難しいため
       (11)
    4. ケースバイケースだから・すぐに気づけるかもしれないし、全然気づけないかもしれない・様々な状況があるので・様々な状況があるので・その子供の実態や性被害の状況による。その子供の実態や性被害の状況による・様々なアプローチがあると思うから
       (5)
    5. 被害なのか生活歴からくるものなのか判断に迷うかもしれない・情報整理の困難さにより、ケースによっては確信に至るまで時間を要する可能性あり・何らかのストレスだと気づいても、性暴力の可能性を確かめにくい・特定人に対して極度に怯えていたりしたら、何か気づけるかもしれない。しかし、被害を具体的に明らかにすることは難しい。
       (4)
    6. 性被害が無いと信じたい気持ちがあるから、怖くて聞けない。聞くのに勇気がいる。うまく聞き出せる自信がない・障がいのある子どもの性暴力被害について、たくさんのケースを知らない・いつもと様子が違うことは把握できると思うが,その原因まで明確に把握できるかどうかは自信が持てない・気づけていない子どもが現に今いるかもしれないと思っているが、気づけていないから
       (4)
    7. 密室性がある為・加害者が家族を含め、支援者である場合が多いと思われる。 そのため密室で被害者自身も認識できないと思う (2)
    8. どんなにアンテナをたてても、おかしいと思っても、確信にいたれないのが性被害・すぐに気づきたいし、対応したいが、アンテナを貼っているつもりだが、かすかなヘルプの声を逃したくなりが、自分自身のバイアス(対策しているから大丈夫なはずなど)が邪魔することもあるかもとアンケートに答えながら思った (2)
    9. 自分の知識や経験から、日常的にアンテナを張っているので・自分が性暴力当事者であること、これまでかかわってきた事例から。 (2)
    10. 性被害にあっている人に見られるサインについて研修を重ねてる・被害を受けている子について研修を受けている (2)
    11. 子どもとの関係性が深ければ気づくことができるかもしれない・子どもとの信頼関係があるか無いかもあるから・ (2)
    12. 何か様子がおかしいなと思ってもはなから身近にそんなことが起こるとは考えもしていないので・何かあったかな?ぐらいは感じても、具体的にはわからないかもしれません (2)
    13. 小さな変化も気づけるように心がけているが「絶対に気づける」と言えるまでには自分自身のスキルや知識の向上が必要だと感じている (1)
    14. 当該の子供に性被害の自覚がない場合には気付けないかもしれないため。 (1)
    15. 実際に気づくことはできなかったから、気づけるようになりたい (1)
    16. 本人が話をしてくれるまでに時間がかかりそうだから (1)
    17. 本人自身が隠そうとしていたらわからないかもしれない (1)
    18. 学齢期の場合は、特に知的に重度になるほど、多くの場合は環境的に守られているケースが多いと思われることと、万が一その環境内で被害にあった場合は、自らの発信は難しいと思われる (1)
    19. 過去の経験から性被害を訴える子は嘘をつかない。経験しなければわからない被害で、妄想などで訴えることが出来ない事実だから (1)

    【考察】気づけると回答した人が「だから私は大丈夫」というような思い込みからではなく、気づけないと回答した人が「だからお手上げ」ということではなく、障がいのある子どもの発信の難しさを理解し、それでも気づきたいと願っていることに希望を感じます。さらに、現場で障がいのある子に真摯に向き合っている方が多く、被害に気付ける自分自身であるためには何が必要なのか知識を深めたいと感じている方が多いことにも希望を感じました。
    自ら発信することが難しいなかで、日常的にアンテナをはるという意識はとても重要だと考えます。ただし、性暴力について、ファーストステップに立つ人は聞き過ぎないことも重要で、どこまで聞くのかについては知識を深める必要があると感じました。

 

  • 8-1.あなたの知っている障がいのある子どもが性暴力の加害をしているとしたら、その子どもは話してくれる(表現してくれる)と思いますか?(回答数:66件)

*その理由を教えてください。(回答数:63件)
  1. 悪いことだとわかってやっているので言わないと思う・加害生徒には、罪悪感があり、隠したいであろうから・悪いことをしている意識は、あると思うので・自分が不適切なことをしているという認識を持っており、本人からの表出がないため・子供自身に悪いことをしているという自覚がある場合には,話してくれないのではないかと思う・いけない事たと自覚しているから・加害者は基本的に話さないため・悪いということを分かっていて隠れて行動しているケースもあると考えます・その行為が悪いことだと理解しているので表出はしにくいと思ったから・素振りや言動から強く疑いがあっても、正直に話すことはしないと思われる・いけないことと理解していたら,言わないと思う・よいことをしているとは思ってないと思うから・話したら怒られるかもしれないという気持ちが強いと感じるから・悪いことだとわかっていて加害をしているから・中途半端な理解力から隠そうとするケースが多いと思う・悪いことと認識されていれば隠すと思います・加害の場合大人には隠すと思うから・してはいけないことを自分から伝えることが難しいと考えるから・隠すから・加害行為だと気づいてある場合は隠そうとする気がする・加害だと気付いていたら話したら叱られると思い込んでいることもあるから
    (21)
  2. 悪いことをしている自覚がないから・障害をもっている場合悪いことだと思っていない可能性があるため・悪いことだと思っているかどうかわからない・悪いという意識がない場合・性暴力であると認識できていない可能性が高い・悪いことだと思ってないから・悪いこととは思わないかもしれない・加害という認識が乏しいと思われるため・自分のしていることが加害行為だと気づいていない・それが加害と気付いていないことも多い
    (11)
  3. 会う機会が少ない・日常的に接触していない・そこまでの関係性がないから・話すことができる信頼関係が築けていないと思います・信頼関係が築かれていないから
    (5)
  4. 子ども自身がすぐに認めるとは限らない・自分の行動を認めたくないと思うから・加害行動の開示は難しいと感じるから・自分からは言えない事だと思います
    (4)
  5. 話ができる子もいますし,理解でいていない子もいます。はい・いいえでは答えられません・子どもとの信頼関係があるか無いかもあるから・知りたいとは思っているけど、これまでの大人との信頼関係が築けているか、私と信頼関係が築けているか、わからないから
    (3)
  6. 自分は助けが必要と気づいていないから・状況を理解できないから(2)
  7. その子を理解して,人間関係を作れば話してくれると思える・直接支援している子には、ある程度安全な関係性がある中で、直接聞くので(2)
  8. 自分から言い出すのがむずかしいとおもうから・時間をかければ話してくれるかもしれないが、なかなか素直に話すことは難しいと思われます(2)
  9. 体験が無いため・加害児童自らのからの話は聞いたことがない(2)
  10. 言葉で表現するのが難しい・表現力 、知的の遅れ(2)
  11. 無意識の領域で、その子の心の安定剤になっているかもしれないから、それができなく無くなると自分が困るから。(1)
  12. 本人が自分にも制御出来ない欲望への罪悪感は有ると思います。話したらどうなるか分かって恐怖心も大きいと思います。(1)
  13. よくわからない。性暴力だとは思っていないだろうと思うため、屈託なく話すかも・性暴力の加害と知らずに話してくれるのではないかと考える(1)
  14. 本能に従い性的な行動をとっただけなので何が悪いことなのかわかっていないから、たいしたことではなく人に話すこともない(1)
  15. してはいけないことだとは認識しており,自分のしたことを言わずにはいられないから。(1)
  16. 被害者が加害者でもあるケースについては話してくれると思う。(1)
  17. 本人が気づいてないかもしれないから。(1)
  18. 加害をしていると思っていない、あるいは学んでいないから。ストレス解消あるいは何か言
  19. いたいことがあるが言えないために行動で表現しているかもしれない。(1)
  20. いつもと違う行動や表情に現れると思うから。(1)
  21. どんなにアンテナをたてても、おかしいと思っても、確信にいたれないのが性被害。(1)
  22. 私ではないが、話せる職員もいる。(1)
  23. 性について話題にできる機会がない。(1)
  24. 自信はない(1)
  25. ケースによるので理由としては記載できない(1)
  26. わからない(1)

【考察】・「⑦その子を理解して,人間関係を作れば話してくれると思える・直接支援している子には、ある程度安全な関係性がある中で、直接聞くので」、「⑫本人が自分にも制御出来ない欲望への罪悪感は有ると思います。話したらどうなるか分かって恐怖心も大きいと思います。」「⑱加害をしていると思っていない、あるいは学んでいないから。ストレス解消あるいは何か言いたいことがあるが言えないために行動で表現しているかもしれない。」は予防、あるいは支援を考えるときに、押さえておくべきポイントと考えます。
・不適切な行動には理由があると多面的に見ようとする人が多い一方で、性的欲求が加害の直接の原因だと勘違いしている人がいることに「やはり」という感覚を抱きました。性暴力そのものについても学ぶ必要を感じます。
・性への欲求・人と触れあうことを良いこと、悪いことで見てしまうと加害という言葉を強化してしまうように感じます。加害行為の背景にストレス解消や何かを言いたいが言えないための行動かもしれないと背景を探る回答があり、今後、ここも深めて行ければと感じました。

 

  • 8-2.あなたはそのことにすぐに気づけると思いますか。(回答数:68件)

*その理由を教えてください。(回答数:59件)
  1. 知りたいとは思っているけど、これまでの大人との信頼関係が築けているか、私と信頼関係が築けているか、わからないから・関わりの深さにもよると思う・性的問題行動いついて、学んではいるので、サインを読み取ろうと努力はしているが、率直に(本人から)話してくれるような関係が築けていない・障がい者との距離、関係性が遠い・気付きたいと思うが,被害者が近くにいない場合には,気付きにくいと考える・日常生活のなかで接する機会が少ないため・子どもとの関係によると感じる・非常勤で関わりが少ない・会う機会がない・日常的に接触していないため・信頼関係が築かれていないから・こどもや家族との信頼関係があれば
    (10)
  2. 見た目の行動ではわからないから・性教育や人権教育を提供することで加害に気付き話してくれるチャンスは増えると思うが、外傷などの分かりやすい兆候がほとんどない暴力なので被害か加害の子どもが話してくれる以外にはっきりとは分からないから・わかりづらい・充分な信頼関係が出来ていれば、あとから教えてくれるかもしれませんが、まだ難しいです・すぐに気づけるかもしれないし、全然気づけないかもしれない・日常の様子からでは気づけないと思う・どんなにアンテナをたてても、おかしいと思っても、確信にいたれないのが性被害・様々な状況があるので・気付けないこともあると思う・その児童の特性による
    (10)
  3. 子どもの様子を見守っていることで気づけると思う・観察すれば分かる・本人との会話の中やその時の表情から、一定の概要把握することはできると思う・本人的には隠すことが多いと思われるが、周りからの情報や日頃の変化等で気づくことがあると思われる・日常の様子や関係性に変化が起きるから・児童の様子がいつもと違うときに気づくことができる・状況を理解できるから
    (7)
  4. 小さな変化も気づけるように心がけているが「絶対に気づける」と言えるまでには自分自身のスキルや知識の向上が必要だと感じている・何を確信として子どもに向かいあえるかが不確かだから・見抜く技術が無いから・疑いを持ってみるか、全く考えもしないかによって、結果は違ってくると思う・まさかそんなことをしているとは考えもしていないから・まさかそんなことをするはずがないと思っているから・性暴力とは気づかないかも
    (7)
  5. 密室性がある為・子供に悪いことをしているという自覚がある場合には,隠れたところで行われることが多いと考えるため・見えないところで、分からないようにすると思うから・見えない所でしている
    (4)
  6. わからない・実際にならないと、わからない・どちらとも言えない(3)
  7. 現場を見ないと分からないため・加害の場面を現認することが困難であるから(2)
  8. 被害者からの申告がないとなかなか分からないと思うから・周囲によほど気を付けて「何かあったら言ってね」と普段から言っておくぐらいでないと、何が起こっているかはつかみにくいと思うから。被害にあっている立場の人は伝えにくいから。(2)
  9. 子どもをしっかり観察することで、日常と違う様子がわかると思うので。(1)
  10. 周りの大人(教員,保護者,その他の関係者),周りの児童生徒から報告(情報)を受ける立場にいる。(1)
  11. 障がいがあるなしに関わらず、話せない子がほとんどだから。(1)
  12. 隠そうと必死になっていると思うので(1)
  13. 研修と情報収集をしているから(1)
  14. スキンシップとの違いを認識できない可能性が高い(1)
  15. 状況を話してくれると気づける(1)
  16. 子どもが事実を隠そうとするなら気づかないし、隠そうとしないなら気付ける(1)
  17. 聞こうという態勢でいるから(1)
  18. 普段から話題にすると思うから(1)
  19. 性について話す機会やきっかけがない(1)
  20. 実際に気づけなかったから(1)

【考察】・できる限り早く支援する、支援につなぐために気付けるアンテナを必要とする回答が多いのが印象的です。そのための知識や情報を望む声も多くあがっています。再発防止にむけて加害とされる行為をした子どもについても諦めない姿勢を持っておられることは大きな希望と感じられます。だからこそ、何が必要なのかを学ぶ機会や選択肢を考える機会が重要と考えられます。
 

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